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動物園との行動生態学的研究

2. 血統データで性比・生活史理論の網羅的検証

上野動物園と共同で、行動生態学上の様々な理論を検証するために、これまで蓄積された膨大な種・個体の血統データを整理・解析しています。そこで得られた知見を、動物園で飼育されている絶滅危惧動物の管理や繁殖に役立てせることが目標です。

1. 大規模温室でチョウの行動研究

東京都にある多摩動物公園には、大きな昆虫生態園があり、年間を通して様々な種類の数千匹のチョウが飛び回っています。この昆虫生態園は、多くの来園者の方を楽しませている素晴らしい展示用の施設なのですが、一方でチョウの行動を解明する絶好の機会を与えてくれるはずです。そこで、ここのスタッフの田中陽介博士と共同で、捕食者のカマキリや競争者である他のチョウが、チョウの訪花行動にどのような影響を与えるかを、百数十時間ビデオ撮影し、3千回以上のチョウの行動を記録することで検証しました。その結果、花を訪れるチョウは、カマキリの標本や、自分より大きなチョウを避けて訪花していることが分かりました。本研究は、東京農工大学の倉知卓将さんとSayed Ibrahim Farkharyさんも参加しています。

 

 Yuya Fukano, Yosuke Tanaka, Sayed Ibrahim Farkhary, Takuma Kurachi (2016) Flower-visiting butterflies avoid predatory stimuli and larger resident butterflies: Testing in a butterfly pavilion. PLoS ONE. e0166365. 

(その他)

Plant-soil-feedbackと撹乱が外来植物の侵入に与える影響

親株の近くに負の効果を与える敵対的な微生物が蓄積することで、次世代の定着に負の効果を与えると想定されているPlant-soil-feedback。侵入先では、原産地の敵対的な微生物から解放されていることで、外来種はこの負のフィードバックの影響がなく、それが侵略的になっている原因の一つであると考えられています。以下の論文では、このフィードバックと、外来種の定着に大きな影響を与えるもうひとつの要因である「撹乱」が、どのように侵入種の定着を促進したり妨げたりするのかということを理論的に研究しました。これは同級生の数理生物学研究室の立木さん(現首都大学)との共同研究です。かれが解析を行っており、筆頭著者のひとりでもあり、責任著者でもあります。僕自身は理論的な仕事はできないので、いい経験をさせてもらいました。ちなみに2人とも「ゆうや」です。

Yuya Fukano*, Yuuya Tachiki*, Tetsukazu Yahara, Yoh Iwasa (2013) Soil disturbances can suppress the invasion of alien plants under plant-soil feedback. Ecological Modeling, volume 260, pp. 42-49.  *equal contributions

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